
先日の徳永さんの紡ぎだす椅子で、精神的な安らぎと暖かさをを感じさせて頂きましたが、改めて木は人にとってとても大切な材料と言う気がします。
徳永さんの家具作りの想いにも触れて、同時にAlvar Aaltoの家具に対する考え方を思い出しました。
昔お世話になった会社でのAlvar Aalto展の資料で、T社長が訳された文章を引用させて頂きます。
アアルトは1940年に発表したThe Humanizing of Architecture(建築に人間性を与える事)と題する論文の中で、バウハウスの機能主義への批判とパイミオのサナトリウムで木のラミネート家具を開発するに至った彼の思いを次のように書いています。
近代建築を創る上で特筆すべき創作活動の1つは、椅子の構造を考え、新しい材料を採用し、それらの新しい使い方を考えた事です。スチールパイプは技術的・構造的には合理性があり。量産にも適しています。しかし、このスチールやクロームメッキという材料は、人間にとって満足できるものではありません。スチールは熱によって加工しやすい材料ですが、クローム仕上げは光に対する反射が強すぎ、室内の音響の為にもよくありません。
バウハウスの合理的な手法で創られたこのスタイルの家具は、正しい方法であったかも知れません。しかし、もしこの合理性に人間が使う為にはどんな材料が一番適しているかという観点で材料が選ばれていたら、もっとよい結果を生んだでしょう。技術的な機能主義は、精神性と結びついてのみ正しいのです。
それが唯一、人間性のある建築(Humanize Architecture)への道なのです。
木の弾性のある家具はパイミオのサナトリウムの為に家具を作った経緯から生まれた結果です。この時、ヨーロッパでは最初のクロームメッキ仕上げのスチールパイプ家具が作られていました。パイプとクローム仕上げは技術的には良い解決法です。しかし、精神的にこれらの材料は人間にとって良くないものです。サナトリウムには、軽くて、弾性があって、クリーニングしやすい等の条件を備えた家具が必要だったので、木に関する広範囲な研究の結果、弾性を確保する仕組みが発見され、サナトリウムでの生活が長い苦痛な人生にならない為に、人間的で、より快適な家具を生産する為の工法と材料が結びついたのです。